認知症とフラワーアート1

知人のお母様が入居する高齢者施設に、知人の付き添いで面会に訪れた時の事です。たまたま居合わせた、フラワーアーティストさんが、ボランティアで生け花教室を開催している真っ最中でした。食堂に集まった、女性の入居さんたちは、思い思いに色とりどりのカーネーションをオアシスに生けながら、時に笑ったり、時に談笑しながら作品作りを進めています。施設側のスタッフさんが、偶然にも面会に居合わせた私たちにも、席を2つ用意して下さって、一緒に作品作りを行いましょうと、声を掛けて下さいました。思わぬ展開となりましたが、スタッフさんたちが快く招き入れてくださったので、私と知人二人で、それぞれの生け花作品を知人のお母様の隣で、入居さんたちに囲まれながら一緒に作る事に致しました。生け花などは久しぶりの体験となるので、知人と二人、おっかなびっくり作業を始めましたが気付くと二人とも寡黙にも、それぞれに作品に夢中になるようにお花を生ける作業に集中していました。施設の介護職員のスタッフさんと先生役のフラワーアーティストさんが、私たちのところにやってきて、皆さん、上手ですねぇと褒めると、知人のお母様は、満面の笑みで私たちに笑いかけてきました。スタッフの方が気を利かせて、「Fさん、お嬢様ですよ。Fさんに会いに来て下さいました。良かったですねぇ、お隣で一緒にお花を生けられて。」と、声を掛けると、知人のお母様は、驚いたように知人の顔を覗き込んで、「あら来てたのね。」と、驚いたように笑顔になりました。先ほどは、遠目から目が合ったとたん手招きして呼び寄せたはずなのに、わずかな時間が経過しただけで、私たちの訪問を忘れてしまったのです。知人のお母様は、認知症を発祥してから5年目になります。最近の施設での暮らしぶりは、落ち着きをみせていますが、入居当初は、暴れたり、脱走を試みたりと大変な騒ぎでした。知人も、母親の施設への入居を自ら望んでいた訳ではなく、認知症が進行した母親の行動が、近隣住人への迷惑行為となりはじめた事から、高齢者施設への入居を決意した経緯があったようです。知人は、母親の入居を決意してから、月に1度の面会は、常に欠かさずに行っており、最近の本人の様子も落ち着いた事もあって、知人のお母様と以前よりお付き合いのあった私も面会に誘うようになったのです。