都会の植木鉢たち「お前も都会で頑張れよ」

近所に住むおじいさんは、自宅の玄関前に、沢山の植木鉢を置いていつもお世話をしています。通りがかると必ず声をかけてくださって、「元気かい」「お天気だね」。そんな簡単な一言なんですが、都会暮らしを始めたばかりの私にとっては、会話らしい会話ができる、日常を感じるほんの一瞬です。おじいさんの植木鉢は、花が咲いているものもあれば、枝と葉っぱだけのものもあり、芸術品なのか、ただの雑草なのか、正直その価値は分かりませんが、おじいさんが愛情をもって育てていることだけは伝わってきます。以前、某有名な芸能人の方が、玄関前に草花を育てている方は、良い家族のお宅なはずなんだよ。というようなことをお話しされていたことを、頭の端に記憶していたようで、おじいさんのお宅の前を通る度に、いつもその言葉を思い出します。 街中のお花屋さんなどで、見かけるフラワーアレンジメントなどとは、一風変わったおじいさんの植木鉢の草花ですが、なんだかみんな家族みたいで、おじいさんが玄関先に出ていない時でも、植木鉢たちが皆、私に声をかけていてくれているような気がします。おじいさんの娘さんは、とても有名なフラワーアーティストさんのようで、海外でのイベントや講習会や、展示会などの催しで、日本全国から、さらには世界まで忙しくされている方なのだそうです。おじいさんはいつも自慢げに、娘さんのことを話されていて、俺が娘のお花の先生だからな、と言っていますが、これが世界水準の植木鉢たちなのか・・・、と心の中でつぶやいては、お互いに笑いあっています。街中の風景の中に、植木鉢があるだけで、こんなにも、心が安らぐなんて、実家で田舎暮らしをしていた時は気がつきませんでした。 こんな小さな植木鉢の中でも、彼らは一生懸命に生きてるんだなと、毎日おじいさんの玄関の前を通り過ぎる度に、「お前も都会で頑張れよ」と励まされてるような気持ちになります。

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